闇の色に注目する


闇は黒にあらず


今、注目の色?


最近、色に関する話題が気になっています。きっかけは、昨年発売になったiPhone11 Pro新色「ミッドナイトグリーン」です。ミッドナイトブルーという言葉はよく耳にしていましたが、ミッドナイトグリーンというのはどこから?と首をかしげながら夜空を眺めてみました。すると、TOKYOの夜空に深いグリーンを見ることができました。

夜闇色のプロダクトたち


これに似たような色のプロダクトに触れる機会がありました。それはiPhone11 Proとほとんど同時期に日本にやってきた自動車アウディのQ8という新型車です。ご紹介するYouTubeの映像は、この車の照明について照明デザイナーの視点で語っているものです。



実際の試乗の様子や室内照明についての説明は上記の動画をご覧いただきたいのですが、この時の試乗車の色がギャラクシーブルーという名前でした。煌めく銀河の青というネーミングですが、試乗する時に初めて見た時の印象は、ブルーというよりもややグリーンがかった色だったのです。


車のボディ色は、太陽から降り注ぐ光のスペクトル組成を反射させた結果なのですから、真昼間の色のイメージと日の入り後の色のイメージが変わるのは当然なのです。実際に見てみると、昼の太陽の下では緑が強く見えたのですが、夕方から夜にかけては、深い青勝ちの青緑色に見え、メタリックなラメは際立ち、まるで宇宙の闇に銀河煌めくように見えてくるではありませんか。

夜空や影は黒じゃない


確かに夜空や空間の闇、物質の影は真っ黒ではありません。夜空は漆黒の闇ではなくある程度の明るさがありますし、海岸沿いのコンビナートがあるエリアでは、火力発電所の煙突に炎が灯っている為に、雲が低く垂れこめた夜にはオレンジ色に染まった夜空が見えています。また、オーロラが出るような極地では、空はディープグリーンに見え、そこに薄いシルクのカーテンのようなオーロラが現れるといった具合でした。


では、空間の闇や物質の影は何色か?というと、これも実は黒とは限りません。私がよく大学の授業でデモンストレーションするのがカラーシャドーという実験です。光の三原色である赤・緑・青のフィルターを被せた懐中電灯で同じ所と照らすと、三つの色が重なった部分は白くなり、そこに鉛筆をゆっくりと下ろすと、鉛筆の影はシアン色の影、マゼンタ色の影、黄色の影が現れるのです。

Photo by Hiroyasu Shoji

闇に注目する感覚


アップル、アウディ、どちらのプロダクトも色に不思議なニュアンスがあり、言葉の表現の面白さもさることながら、それが物ではなく空間の影とか闇の色を示す現象的な表現であるのが非常に興味深いところです。


深く複雑で、思慮深い感覚で生み出された色のプロダクトが注目を集めているという意味では、なんだか嬉しい予感がします。照明デザインも、“照らす”、“RGBで色付ける”という考え方から、”闇の色”をどう表現するか?なんて議論する時が来れば、さらに熟度が上がっていくでしょう。


#光のソムリエ #闇の色 #ミッドナイトグリーン

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