8月12日からの展覧会【終了しました】


照明のテーマは人間の身体と心

5年ぶりの展覧会

本日のブログは、8月12日(金)から8月20日(土)まで開催する、ライトデザインの展覧会についてご紹介いたしましょう。期間中は銀座のLIGHTDESIGNスタジオと、そこから徒歩1分ほど離れた奧野ビルにあるギャラリー巷房の2カ所を会場として、オムニバス形式で2つの展覧会を同時開催します。


全体のテーマは「human being」、つまり人間、を照明のテーマに掲げています。ひとことで人間をテーマにした照明といっても、「何のことか分からない」、もしくは「そんなの当り前じゃないか」というご意見をいただくかもしれません。そこで、「ユーザーエクスペリエンスデザイン」という言葉を用いてもうすこし丁寧に展覧会の趣旨をご説明していきたいと思います。


ユーザーエクスペリエンスとは?

この言葉は、認知科学者のドナルド・ノーマンにより提唱された概念です。この言葉の意味は「製品やサービスを利用した時に得られる体験の総体」ですが、単純に機能や使いやすさのことだけでなく、ユーザーが本当にやりたいことを楽しく、心地よく実現することを重視した概念です。


この言葉に強い関心を寄せたのは、私たちがこれまで携わってきた照明デザインの仕事は、まさに光を享受するユーザー=人間のために探求してきたものであり、それを端的に表現する言葉との出会いに私の胸が高鳴りました。


そのことを、これまで私は “目的を持った照明”だとか、拙著『デリシャス・ライティング』においては“WAKUWAKU” “SUYASUYA” “NINMARI”という言い方をしていたのですが、つまり照明は、使う人がどのような体験するかを第一に考えてデザインするのだという話をしていたわけで、まさにそれは照明によるユーザーエクスペリエンスデザインという概念だったと気づいたわけです。


照明で体験できること


ギャラリー巷房での「 ○△□のOLED」展より

LIGHTDESIGN スタジオでは、照明におけるユーザーエクスペリエンスの概念を基軸に、「人間の照明 LIGHT FOR HUMAN-BEING」というテーマでこれまで携わってきたプロジェクトを編纂し11のコンテンツで紹介いたします。テーマは、「夢をかなえる」「癒される」「束の間の時を楽しむ」といったラインナップで、それぞれにいくつかのプロジェクトをご紹介しています。各解説は展覧会にお越しいただいてからのお楽しみですが、ここでひとつだけご紹介しましょう。


Fujiya1935は、大阪にある5年連続ミシュラン3つ星のレストランです。料理は蓋を開けると玉手箱のように煙が立ち上がる一皿、はたまたアユの塩焼きのソースはスポイトで添えられている・・・という斬新な表現もありながら、その土地の食材を活かした確かな技術で提供される料理の数々が提供されます。そんな食事の楽しみを空間全てで高めるにはどうしたら良いかを考えました。


たとえば、ゆっくりと時間をかけて食事をするスタイルに合わせて、前菜から始まり、メイン~デザートにいくにしたがって空間の照度はゆっくりと下がっていくのですが、沿直面の光景は表情豊かに変化し、厚みのある夜の深まりを表現しています。空間の照度が下がっていくことで、人間は心身を無意識の中で弛緩させ、こころを開放する時を迎える…といった照明デザインが施されています。これもひとつの照明によるユーザーエクスペリエンスデザインであると考えています。


一方、ギャラリー巷房(3階、地下1階)の会場では、光と人の間を空間化する試みとして、「○△□のOLED」と題したインスタレーションを展示いたします。この展示は、商用電源を使わずに有機ELパネルを点灯させるという試みです。真水100ccあたり塩35gの溶液に、備長炭とアルミニウムを漬け込むと、約0.75Vの電気が生まれる原理を利用し、この手作り電池を8つ直列につないで6ボルトを起電し、有機EL照明を点灯させるというものです。


展示名にある「○△□」の意味ですが、禅の世界観では、○(まる)は宇宙を、□(しかく)はとらわれた心あるいは社会を、そして△(さんかく)は修行をする姿を現しています。現代照明の世界観は、社会の都合に合わせて発展してまいりました。しかし、ヒトとヒカリとのいにしえからの関係、朝・昼・夕・夜を繰り返す地球上での毎日の時間は普遍のものがあるはずです。私たち地球上の生活者は、その真理を改めて考察する必要があると考えています。


展覧会の会場では、涼しげに設えております。冷たい飲み物なども用意して、皆さまのお越しをお待ちしております。

【このイベントは終了しました】

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