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  • 執筆者の写真東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

照明はライフスタイルで決めたい!


ライフスタイルから始まる住宅照明


ビジネスで重要視されるようになったもの


昨今、商品そのものに焦点を当てるのではなく、ライフスタイルに注目し提案するようなビジネスモデルが主流となってきているのだそうです。例えば、従来のコーヒー文化を変えたと言われているスターバックスは、コーヒーの味わいや香りの良さを宣伝するだけでなく、コーヒーを飲む快適でかっこいい空間体験をテーマにして成功をおさめたというのです。そんな“ライフスタイルを売る”ビジネスが、昨今人々の心をとらえ支持されてきているようです。


このことを照明に置き換えて考えてみると、三井不動産レジデンシャルの情報サイトで「照明がもたらす美しい時間」をテーマにスタートした光のソムリエは、まさに同じ流れにいたということになります。そこで今回は、改めてライフスタイルと照明について考えてみることにいたしました。

 

照明ワザのレシピ


この光のソムリエというブログをはじめるきっかけとなった、拙著「Delicious Lighting デリシャスライティング」(TOTO出版)では、照明によるさまざまな住空間の提案をしておりました。

簡単なものだと、リビングルームの照明を夏の季節には、見た目にもさわやかな色温度の高い光を発するランプにして、寒い冬の季節には、暖かさを演出するために色温度の低い電球色のランプに交換するという、“光の衣替え”を提案しています。本の中には、”WAKUWAKU” “YUTTARI” “NINMARI” “SUKKIRI” など、光がもたらす効用で編集してあって、どんな気分になりたいのかによって、おすすめのレシピが用意されています。


照明はそれぞれのライフスタイルに合わせて、さまざまな工夫ができる人生を楽しむツールなのではないか!と思うのです。

 

自分のスタイルで生きている人々



先日テレビでサッカーの香川真司選手のドキュメンタリー番組を偶然見たのですが、驚いたことに彼の自宅の部屋は、本格的なトレーニングジムのような空間になっていました。 さすが!!サッカープレイヤーとしての鍛錬に重きを置いている生活を垣間見れたのですが、逆にラグジュアリーな住空間、まるで高級ホテルのスイートルームみたいな部屋に住んでいたのなら、そうか・・彼もスポーツで大金持ちになったのか・・・?という称賛と共に少し残念な感想を持ったことでしょう。ステータスを確立した成功話より、夢を実現する姿のほうに感動を求めてしまうのは、不思議なものですが・・・。でも彼はあくまで未だ試練の真っただ中、そして住む家がジムである、というのがいいのです! 香川選手のスタイルには、今っぽくて好感を抱いてしまいます。


このドキュメンタリーを見ていて、私たちは香川選手に学ぶことがたくさんあるように思います。つまり、自分が好きなことを実行する場所が住まいなのだ! そんな揺るがないライフスタイルが見えているところです。彼にインスパイアされて考えれば、たとえば、料理が好きな人は、まるでキッチンみたいな部屋に住むのもいいでしょう! 照明手法は、アンビエントライティング+スポットライトを用いた“おいしい照明”が最適なのではないでしょうか。たとえば、手暗がりのできないようにスポットライトの位置を細かく決めて、調理台の上は、さながらステージに見立ててみましょう。野菜の色味をきちんと見せていきたいので、光源の演色性にはこだわりたいところです。Ra90以上の演色性、さらに赤色の演色評価数R9も100に近いものを選ぶのがポイントです。


また、ワインが好きな人ならば、ワイン屋さんのように壁一面がワイン棚になっているほの暗い部屋、ここでの照明は明るすぎてワインの保存に悪影響のないよう、ほんのり暗くが原則です。少し揺らぎの感じられる色温度の低いランプを使ってみるのもよいかもしれません。そして本が好きな人なら、図書館か本屋さんみたいな部屋で、そこに相応しい光といえば・・・、などなど妄想するとキリがありません。


他にも、美術館みたいな部屋、ブティックみたいな部屋、美容室みたいな部屋、雑貨屋さんみたいな部屋、自転車屋さんみたいな部屋、鉄道の駅長室みたいな部屋、デザイン事務所みたいな部屋など、好き好きに考えてみると、照明の可能性もさらに広がり、楽しいアイテムになってくるような気がしませんか?



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