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  • 執筆者の写真東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

近未来の照明生活

更新日:2023年6月23日


「LED Next Stage 2012」会場風景のカラフルなライティング壁
「LED Next Stage 2012」会場風景より

2022年照明の旅─2022:A Lighting Odyssey─


かくしてLED電球は広まった?

LED電球が白熱電球の代わりとして世に登場してから、はや3年が経とうとしています。ちょうど3年前(2009年)に大手家電メーカー各社がこぞってLED電球を発売し、翌年には「全面LEDを導入した店舗や商業施設がオープン」という新聞記事も目立つようになりました。そして、昨年は未曾有の大震災と原発事故を受け、省エネで長寿命の新電球に期待する声が高まり、家庭への普及が急速に広まったという状況にあるのです。 みなさん身の回りを見渡してみてください。こんなところにもLED電球が使われている・・・特に人がたくさん集まる空間、コンビニやデパート、駅、あるいはいつもの居酒屋さんにもいつの間にかLED化が進んではいませんか? ひょっとして未だにLED化していないのは我が家だけであろうか? そんな不安感さえ募りそうです。 しかし、そんなに焦る必要はありません。「LEDが普通の時代」はすぐそこまで来ていて、技術も日々進歩していますから、じっくり見極めて導入する方が賢いのです。長寿命ゆえに約10年間のお付き合いになるのですから。 そんな中で私たちの意思をもって自然に切り替わる時期は、10年後すなわち2022年ではないか?と感じています。今回は、2022年の私たちの照明とのかかわりがどうなっているのかを空想してみたいと思います。

 

時は2022年・・・

(以下より空想のお話です) ー 10年前、2012年にはまだ十分に普及していなかったLED電球は、いまや当たり前の存在、誰もそのことを話題にしようとはしていません。昔使われていた「白熱電球」というのはかろうじて博物館で見ることができます。いまの子供たちは白熱電球がなぜ1、2年で取り換えなければならないのかが理解できません。照明は誰かが手間をかけなくとも必要な時に点灯し、不要な時に自動的に消えるものだと考えているのです。空気みたいな存在、当たり前のモノなのです。 照明の技術革新により、室内の明るさや色温度が変わるのはもはや常識です。まるで1日の太陽や月明かりを再現したかのような色調の変化さえ可能になりました。壁には電源スイッチはなく、それをコントロールするのはさまざまなセンサーで、人や季節に合わせた絶妙な調節もしてくれます。 また、あらたな上質な光源として有機EL(OLED)が注目を浴びています。LEDも世に出てきた当時より上質な光を放つ商品が増えたものの、有機ELにはかないません。素材自体も非常に薄くて場所をとらないため、以前は蛍光灯が使われていたような学校やオフィスといった施設内での導入が進んでいます。 変わったのは光源だけではありません。人々は光の質そのものにこだわる生活を自分の趣向に合わせて選ぶようになりました。ただ、部屋を均一に明るくするような時代は終わったのです。ある人は仕事で疲れた体を癒すべくほのかでやわらかな明かりのもと大好きなインターネット配信の映画を見たり、またある人は朝の目覚めを良くするために4200ケルビンの強い明かりをベッドサイドにセットしたり。15年前に発売された照明の指南書「デリシャス・ライティング」に書かれた価値観が定着したのかもしれません。


光は自然に感謝して、“いただく”時代に

この時代になり、実は大きな変革がもたらされました。それは、照明は設備ではなく、道具という位置づけになったことです。 照明を点灯させるための電気エネルギーの供給が充電式の電池に変わり、わずらわしい電源線から解放されたのです。LEDやOLEDは消費電力が少ないため、電池で十分だからです。また、昔起こった電気供給問題を受けて太陽光などの再生エネルギーの活用も発展しました。一軒家はもちろんマンションでも太陽光パネルを設置している家は多く、昼間の光を夜の灯火として使うという思想が広まったようです。 電気は使うという感覚から、“いただく”という感覚に変わったのでしょう。最近話題になっているのは「昼間の光を夜に持ち込もう!」というキャッチフレーズ。自然からありがたく集められたエネルギーを大切に使うため、夜は昔のように煌々と照らすのではなく必要な明るさだけを使います。 その光景を見て、(20年後の)私が思いを馳せるのは昔訪れたパプアニューギニアの暮らしです。自分たちで作ったオイルランプで夜に必要なだけの明かりを灯していた生活が、2022年の都市における常識となっているようです。 明かりの意義は“生きる証し”と聞いたように、この日本でも自然に感謝しながら光を楽しむという価値観に近づいてきたのだなぁと考えている。実は私は相変わらず照明デザイナーではあるが、陽が暮れると白熱電球にわずかな電気を流しオレンジ色の優しい光を灯す “白熱バー”を営んでいる・・・。 (完)

 

さて、照明にまつわる近未来ストーリーはいかがだったでしょうか? 上記に展開しましたお話は実際に想定されている照明技術の予測と私の勝手な妄想を合体することで構成したものです。LEDのさらなる普及やOLEDの登場は照明業界ではすでに予想されていますし、再生エネルギーの活用も期待されています。


また2012年の現在、日本では以前より上質な明かりという価値観が認識されるようになってきたと感じるこの頃ですから、10年後は時代の流れもあって光に対する価値観も上がりそれを大切にするという感覚が根付いているのではないか、いや、そうあってほしいと願っているのです。


暗がりの中のティーライトキャンドルとガラスボトル

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