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光の床の間をつくる


床の間|高台寺和久傳 Photo by Hiroyasu Shoji

部屋に神聖なる場所を!

日本の暮らし


照明デザイナーの住宅はどうなっているのか、という質問を受けることがあります。狭い日本のしかも首都圏に暮らす者としては、必ずしも広い空間に住んでいる訳ではありません。むしろ正直に言ってしまえば定型化された居住環境に暮らす照明デザイナーは少なくありません。私もそんな一人の照明デザイナーとして、暮らしの中に知恵をしぼって少しでも快適な時をすごせないものか?と日夜研究を重ねています。それが光のソムリエの使命でもあると考えているからです。

北欧ではヒュッゲ

北欧には、”ヒュッゲ“という言葉があり、家の中でも温かく居心地の良い雰囲気の場所や時間を持つことを大切にしています。例えば陽当りの良い出窓の横だったり、暖炉の横であったり、部屋の隅っこでちょっと暗い感じの場所であったりと、思い思いのヒュッゲをもっているのでしょう! 日本の小さな住環境にもこの居心地の良い場所を少しでも多く作れないか?と思っています。

日本では床の間がヒュッゲな空間?


さて、日本の住空間で最近気になっているのが床の間です。京都に通うようになってからだと思いますが、優れた日本建築、とりわけ数寄屋住宅を見るにつけ、床の間の大切な意味を感じるようになってきました。


和室の一角に設けられた床、そこには軸がかけられているのと同時に花が生けられています。軸と花は、当然ですが、その季節をテーマとしたもので、このしつらえに向かうと日本文化の奥行を感じ、何だか神聖な気分になるのです。そしてなぜだか邪念が取り払われ、心がリセットされるのは、私だけではないはずです。


この精神状態を呼びおこすということは、床の間が日本におけるヒュッゲな場所といえるのかもしれません。


ところで、小さな居住単位においては、残念ながら日本建築の誇る床の間の備わっていない住宅も増えつつあります。そこで、今回は、日夜研究する光のソムリエのアイディアとして「光の床の間」をご紹介いたします。

簡単にできる光の床の間


光の床の間レシピ その1 Photo by Hiroyasu Shoji

この写真は最初につくった光の床の間です。白い壁の前に置かれた収納の背後にライン状のLEDを少し深い位置に仕込んでいます。


LEDのラインは粒々の素子が10ミリピッチで並んでいるのですが、全くツブツブ感はありません。深い位置に設置されていることで、光が良くまじりあっているのでしょう!


さて、このように簡単にしつらえた光の床の間なのですが、私はこの床の間で様々な遊びをしています。まずは置きものの研究です。写真のようにできるだけ設置面積の小さな物のほうが浮遊感があって楽しいようです。


光の床の間レシピ その2 Photo by Hiroyasu Shoji

そして器が透明であればそれを透かして奥の光を見ることができるのでよりワクワク感が増してきます・・・。しかも、涼しげな風情が暑い夏にぴったりです。


このように光の床の間は、限られた日本の居住環境でも無限の想像力をかきたててくれる神聖な場所を生み出すことができます。


この夏、皆様の住空間でも光の床の間を楽しんでいただけたら幸いです。