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執筆者の写真東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

電球部に入りませんか?

更新日:2023年6月16日



愛すべき電球を魅せたい


同じ目的を持って集う楽しさ


旧知の友との電車に乗った時のコト・・・長―い駅名を見て、それをいかに短く略すか、そしてそれがどれだけ機知に飛んでいるか?というアソビをしていました。例えば、東京の日比谷線の「東武動物公園」を略してトドコン、なんかそんな動物に出会えそうな予感が・・・そんな感じです。獨協大学前・・・ドクダマ??? これはなかなか面白いとハマってしまい、略語部という大人の部活動があってもいいじゃないか!という話となりました。


その後、巷では大人の女性の間で「リカ活」なるものが流行っているというのを知りました。こちらはリカちゃん人形の背景やファッションをコーディネートして撮影し、SNSに投稿していくという活動だそうで、なにやら、今日的な感覚の表現の場として誕生した活動のようです。


同じ目的を持って集う楽しさを、私が始めるならば、何をしようか?・・・そうだ!私が愛してやまない電球達を愛でる電球部なんてのが良さそうじゃないかという気持ちになったのです。

 

電球の良さ


とにかく、私は電球は大好きなので、以前から電球をモチーフにした手ぬぐいを作成したり、アニメーション動画を作って年末のWebグリーティングメッセージにしたりと、電球に対する愛を様々な形で発信していました。


私が電球をこよなく愛するのは、電球こそが、現代の照明の原点だと考えているからなのです。電球には目的に応じた様々な形状や多様な素材があり、そこには19世紀から続く電気照明の知恵や工夫、各時代が求めてきた革新的な技術の結晶などがありありと見て取れるのです。


シンプルなナス型をしたシリカ電球や同じ形をしながら球面の半分を銀色に蒸着されたシルバーボール電球などなぜそんな電球が作られたのかを紐解けば、そこには深くて広―い照明の世界が広がってゆくのです!


食材に例えるならば、電球は用途によって色んな形があるパスタといったところでしょうか。パスタがソースや料理によって色んな太さの麺や蝶々型のショートパスタなどが使い分けられるように、電球も様々な形状、色などが用途に応じた工夫を凝らされてエジソンの時代からの100年くらいの間で開発されてきました。日本でのみ広まった電球の形もあり、その土地の気候、文化にあった電球というものがあることを思うと、愛おしさもひとしおです。

白いテーブルの上に乗せたダイクロイックハロゲンランプとバカラのグラス。両方のアイテムの多面体による反射光がテーブルに広がっている
ダイクロイックハロゲンランプとバカラのグラス-多面体が生み出す美しい輝きの共鳴 photo by 光のソムリエ

それらの電球をもってすれば、空間に様々な演出が可能になる…というのが照明デザイナーの扱うところでしたが、そういった難しい話を抜きにしても、それらの個性溢れる電球たちそのものを愛でたいという気持ちから電球部なんてものがあってもいいじゃないか!と思うのです。

 

電球を街に連れ出して…


さて、電球部を作ろう!と言ったものの、いったいどんな活動をすべきか悩みました。いろんな電球の特徴を列挙して新たな照明を生み出すヒントを探るか?はたまたそれらの電球が生まれたルーツを探り、照明文化を深掘りするか?…もちろん、それは個人(部員?)の自由ですが、まずは誰もが参加しやすい活動を、ということで、その日の気分にあった電球を連れて街に出て、いろんな場所で写真を撮ってみることにしました。


移動中の所々で電球の写真を撮るわけですが、空を背景にしてみれば空中を浮遊するオブジェのように見えますし、道端の草むらに置いてみればもはやそこに生まれた果実のようでもありました。続いて橋を渡るときに見つけた鉄骨をリベット止めした構造部材との土木的スケールの荒々しさとガラスの繊細さとのコントラストに何とも言えない美しさを見出してしまいます・・・。


撮り貯めていけば自分だけの電球コレクション写真集となります。さらに共感の輪が広がり、電球部が動き始めれば嬉しいなと考えるのです。


電球部に入部希望者は、オリジナルの電球コレクション写真をSNSなどに投稿してみてくださいね。


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