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  • 執筆者の写真東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

電球シルエットは不滅?

更新日:2023年6月23日


電球モチーフのアイテム各種
photo by 光のソムリエ

電球への郷愁を超えて、その先に…


丸い形のカワイイ奴!

白熱電球のフォルムを見ていると、とても親しみやすく、なんだかほのぼのとした気持ちにさせてくれます。あの丸いカタチにはいつもニヒルにふるまおうとしている少々固めの建築ショーメイ・デザイナーのワタクシでさえ、「いいね!」と言ってしまいそうです。 これって、私たちが子どもの頃から電球が切れるごとに新しい球を手に取り交換していたことに起因しているのでしょう。電球に触れ、無意識のうちにその形に愛着を感じているのだと考えます。それだけ、白熱電球というものがいままでの私たちの暮らしに密接に入り込んでいた証しです。 私も電球シルエットに魅せられ、気づけばいろんな電球型グッズのコレクションが増えているのです。上の写真はその一部でございます。電球型アルコールランプにLEDキーホルダー、カフスや一輪挿しなどなど。どれもその形状を生かした作りになっています。 しかし、そもそも電球は何故この形なのでしょう? 今回はそんな電球のカタチについてちょっと考えてみました。

 

どうして電球は丸いのか?

あくまで私の個人的な推論ではありますが、フィラメントから発せられる光は360度いろんな方向に発散されるのですが、その光を均等に発するためには球体のフォルムが最適だったというシンプルな理由ではないかと考えました。 それに電極の口金を付け、いわゆる電球の形になったのではないでしょうか。また、さらに管の中は真空になっているので、丸いカタチのほうが強度もあって好ましかったのでしょう。そして、これが原型となり指向性を高めるためにレフランプやビームランプ、シャンデリアランプなど、さまざまな形に発展し“電球の文化”が出来上がったのだと思います。 現在、LEDの登場でこれらが続々と置き換わりつつあるのですが、光源が変わっても電球シルエットへの愛着は私たちの中に深く根付いており、いま販売されているLED電球は白熱電球をそのまま模した形状がほとんどです。 もともと白熱電球を前提とした照明器具に代替電球として使用しなければならないのでこのようなことになっているのですが、その中でも飛び切りノスタルジーを感じるデザインのものを発見いたしました。


上の照明は使い終わった蛍光灯をリサイクルし電球型のガラスグローブに加工したもので、これには思わず笑みがこぼれてしまうなかなか「いいね!」な代物なのでした。


前述の電球グッズを含め、電球型デザインは私たち“電球世代”がいなくなり、電球を全く知らない世代だけになるときまで支持され続けると思うのです。


しかし、あと数十年も経って電球を知らない世代が大人になる頃には電球型って不思議なカタチとなってしまうのかもしれませんね。

 

レトロフィットにこだわらない新しい発想

白熱電球は、いまから130年前に登場し、電気の光としてキャンドルやガス灯に代わる新しいカタチとして躍進してまいりました。そして今、このカタチがLEDという次なる技術のためにそのカタチを変えようとしています。 光のソムリエとしては電球型を愛する一方、LEDならではの全く新しいカタチの誕生にも大きな期待を寄せています。今年の3月に行われたLEDの見本市「LED NEX STAGE 2012」では、そんな期待に応えてくれるような印象的な照明プロダクトにいくつも出逢いました。その中でも飛び切りユニークなデザインのものをここで紹介いたしましょう。


これは倉庫などの高い天井の空間に吊り下げられる水銀灯用ペンダントライトに代替するLED電球です。ラッパのような形が面白く、思わず笑みがこぼれてしまうなかなか「いいね!」な代物なのでした。


ちなみにラッパのように開いた部分は直径34センチもありました。そのサイズの平面にたくさんのLEDが並べられており、長い口金が伸びているのです。こんなの今まで見たことないぞ!


これは決して単なる電球のレトロフィットではありません。既存の照明器具そしてもっと言えば期待すべき照明効果の両方を満たすために生み出されたものなのです。非常に新しい世界観を感ぜずにはいられませんでした。


いま、LEDは光の広がりや性能に基づいてどのような形状が一番良いのかを見極めていく時期に来ているのでしょう。そこには、現在の私たちに根付いた電球ノスタルジーを越えた新しい価値観が待っているに違いありません。


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