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  • 執筆者の写真東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

オステリアT

更新日:2023年6月16日


オステリアTの店内
Photo by lighting-sommelie

何事も”好き”から始まる

ワイン教室での出来事


このブログでも何度かお話ししていますが、私はワイン好きが高じて数年前からワインスクールに通うようになりました。そのスクールでは、幅の広い受講生に対して様々な講座が用意されています。もちろんソムリエの資格試験の対策講座がその中心にあるようなのですが、初心者向け、ワインの産地別、ワインに合うチーズ講座、はては古―いビンテージワインを味わう講座などなど、自分の目的に合ったクラスを受講することができるのです。


私は初心者向けの講座をひと通り受講した後に、資格取得講座を経て、ワインエキスパート資格を取得いたしました。ここで一つの目的を達成したのですが、その後も、趣味として楽しめる講座を・・・と思い、「シャンパーニュ講座」というのが気になり受講したことがあります。初めてクラスに行ってみると、そこにはシャンパン好きがたくさん集まっておりました。そしてその方々というのは、職業もまちまち、医者も弁護士もシェフもエンジニアも、とにかくシャンパン好きというだけで様々なジャンルの方々とお知り合いになれる、ワクワクするような講座だったのです。

 

クラスメイトと仲良くなり・・・

シャンパンをひたすら飲むとは言え、そこはやはり講座ですから、毎回のテーマに沿った講師のお話を聞きながら、しっかりと知識も身につける勉強会です。毎回5種類の異なるシャンパーニュをブラインドテイスティング(銘柄が分からない状態で、香りや味わいを楽しむ飲酒方法)をいたします。そして、毎回クラスが終わった後にも、放課後のクラス会という形で近くのレストランやバーなどに行って、リラックスモードでその日の学習の復習をきっちりと行うことが習慣となっておりました。


そんなことを続けている中、今度は、別の日に改めてクラスメイトのメンバーで集まろう!ということになり、その会場が私のスタジオに設定されたことがありました。当日は各々が持ちこんだ大変珍しいワインと美味しいおつまみを肴に、様々な職業の方々の話に耳を傾けることができ至高の楽しさだったのですが、その時、特に盛り上がったのが、間もなく独立して、イタリアンのお店を開くぞとおっしゃる方の新店舗構想のお話だったのです。

 

ついつい、熱が入った結果


照明デザインのスタジオで開催されたワイン会にて、「この場所の灯りの居心地に心が動いた・・・、こんな灯りの店をつくりたい・・・」、そんな言葉を聞いて、後から考えると、彼がどこまで望んでいたかもわからなかったのですが、数日後にはいただいた図面からお店の模型を作っておりました。


そのときは、あたかも自分の好みのお店を作らんとばかりの勢いがあったのかもしれません。事務所のスタッフからは「これはあなたのお店ではないし、正式にお願いされたわけでもないのに、あまり突っ込んだことをしてはいかがなものでしょう?」という指摘もあって、また、ちょうど本職のほうが忙しくなったことから、その後はしばらく身をひくことになりました。


その数か月後のことです。開業予定よりも二ヶ月伸びたけれども、いよいよお店をオープンすることになったので是非来てくださいという彼からの招待状を頂いたのです。私のスタジオでの持ち寄りワイン会を開催した日から半年くらい経っていたので、ワクワクした気持ちで、いったいどのような店になったんだろう?そういえば模型を作ったなぁ・・・と思い出しながら、お店を訪ねてみたのです。


すると・・・、なんと例の模型通りに出来上がっているではありませんか! 聞けば、その模型に感動し、とにかく模型通りに・・・ということで仕上げていったというのです。少し開店が遅れたのは、自らペンキをぬったり什器を運び入れたりしたためだったようなのですが・・・。 それからは、かつてのワインスクールの同級生や、講師の先生、私の知人・友人と足しげく通うことになりました。


何が面白いかっていうと、ここには隠れ家のような雰囲気があるのです。私がかつて14年ほど前にイメージした「探偵事務所風のスタジオ」というのは、もしかしたら、こんな雰囲気であったかもしれないと妄想にふけりながら、ワインと美味しいシェフの料理をいただくのは、また格別の喜びです。 10月を迎え、ゆったりと照明とワインを楽しむには良い季節になってまいりました。 “照明がもたらす美しい時間”光のソムリエプルミエール、今宵はこれにて・・・。



オステリアTの店内模型
オステリアTの模型

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