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  • 執筆者の写真東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

GINZA裏路地散歩のすすめ


紙の銀座の地図
photo by 光のソムリエ

裏路地探訪で新たな魅力を発見!


テレビの企画で


先日、NHKのとある番組ディレクターから番組に出演してほしいという依頼がありました。その番組というのは、NHKの海外向け放送サービス「NHKワールド」の中で放映されている「TOKYO EYE 2020」という番組でした。番組の前身は、クリス・ペプラーさんの司会で十数年続いてきた「TOKYO EYE」で、この春から番組タイトルに2020を加えて内容も刷新しているというのです。


2020、そう、いま東京は、オリンピックに向けた街の整備と同時に、海外から観光客の誘致にも積極的です。そして、銀座は東京観光の目玉のひとつで観光ガイドでもさまざま紹介されているのです。番組では、その銀座の面白さを深堀するような、街のバックステージツアーを行うという企画。そして、その案内役として出演してほしい・・・というのが、今回の依頼だったのです。

 

銀座発展の歴史


銀座に事務所を構えてはや15年、銀座の裏路地なら任せてくれ!と言いたいところですが、そういえば、最近は夜の街をうろうろしていないなぁ!・・・などと反省し、密かに夜の銀座裏路地ツアーを敢行いたしました。また、ツアーに出る前に理論武装も必要だと思い、銀座の歴史を改めて調べてみることにいたしました。


そもそも、銀座の地名の由来は江戸時代までさかのぼります。その頃、銀の鋳造所があったことで、その名がついたようですが、まだこの時代の東京の中心的繁華街は日本橋で、銀座はむしろ何もない場所だったのです。明治の時代に入ると、今度は浅草方面が街として賑やかになるものの、銀座は未だマイナーな感じであったようです。しかし、次第に未開発の新しい街ということで、ガス灯が設置されたり、新しい街の顔が少しずつ見えてまいります。


その後、関東大震災を経て、復興していく中で、街が出来上がっていた浅草を再建するよりも、未開発だった銀座のほうが開発を進めやすく、そこから銀座の知名度がアップしていったのです。後に第一次世界大戦が始まるものの、その当時は日本が戦地とはならなかったために、逆に景気がとても良かったことから、銀座では女性が給仕するカフェ、文化人が集まるバーなどの文化が花開きます。そんな歴史がいまの銀座の華やかさにつながっているのでしょう。

 

ちょっと小道に入ってみると・・・


さて、番組のツアーでは4つの裏路地を巡るツアーを企画して、ネイティブの英語を話す女性レポーターの方と歩いてまいりました。


まずは、銀座の中央通りに面するティファニー銀座店と、その隣にある70年の歴史をもつオーダーメイド紳士服店の銀座英國屋。その間にある不思議な路地の紹介です。その路地は、永井荷風の短編小説「つゆのあとさき」の舞台となったカフェがあったのではないかと言われている場所です。今では、誰かがその物語になぞられたのか赤い光を投映させています。


銀座2丁目、ティファニーと英國屋のあいだの路地に赤い水玉上の光が浮かび上がっている
銀座2丁目、ティファニーと英國屋のあいだの路地 photo by 光のソムリエ

次に向かった路地は、銀座5丁目の「三原小路」です。ここは、関東大震災の応援に関西から駆け付けた人々が飲食店を開いた場所だと言われています。そういえば、京都の石塀小路に似ているなぁ?なんて思いにふけながら通り抜けました。そこからさらに新橋方向に進むと、路地の一角にルパンというバーが見えてきます。ご存じの方も多いと思いますが、このバーの創業は昭和2年。当時は里美弴、泉鏡花、菊池寛といった文豪の方々が集まる店であったと聞きます。また戦後は太宰治や坂口安吾らも常連であったようです。当時から使っているというショットグラスで、モルトウィスキーなどを頂くと、当時の空気感が漂ってくるような気がします。


バー「ルパン」にて photo by 光のソムリエ


さて、次なる路地は銀座8丁目、ぐーっと新橋寄りとなりました。この辺になると、あまり詳しい場所を伝えにくくなるのですが、道なのか?建物と建物との単なる隙間なのか?わからない状態です。ただそういった場所に潜入しても、向こうの方から、通行人がやってくるのですから、確実に生活動線になっているのでしょう! 番組の最後には「樽平」という居酒屋に入って銀座の裏路地物語を締めくくりました。


銀座の裏路地には、かつての歴史の層(レイヤー)が隠されています。そして、路地に一歩足を踏み入れた時に、数十年前の時代にタイムスリップしたような気分となるのです。中央通りなどの華やかで高級な印象が強い銀座だけでなく、これぞ少しマニアックな銀座の魅力探訪なのかもしれません。


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