top of page
  • 執筆者の写真東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

働き方が人生を決める?


働き方と人生観

イタリアでの体験

昨年も様々な国への旅を経験しましたが、とりわけ印象に残ったのが7月に出かけたイタリアの旅でした。イタリアの某照明メーカーから依頼を受けて「日本文化における照明の現代的な価値・・・」というレクチュアをすることが旅の主な目的でした。その旅の凝縮した数日間のなかで強く感じた驚きは、イタリア人がこれほどまでによく動き、そしてよく食べて、よく飲むのか、というものです。食べたり飲んだりすることと、その時間にできるだけ沢山の言葉を交わすこと、その徹底した時間の過ごし方に触れ、改めて同じ地球の上に住みながら、イタリア人と日本人との人生観の大いなる違いを感じる旅だったのです。

 

生活リズムと楽しみ方の違い

イタリア人とともに数日を過ごしていると、昼にダイナミックな食事をしたかと思えば、夜は夜で、やや遅い時刻、それは8時半とか9時から食べ始めて気が付けば日付けが変ってしまうくらいまで、とにかく良く食べよく飲みます。日本人の2倍か3倍のカロリーを摂取しながら、やはり2倍か3倍、いや5倍くらいのエネルギーを毎日発散しているのだろうと感じます。食べることは、毎日を生きること。良い仕事は良いものをしっかり食べてかなうもの!日本人とはだいぶ異なる人生観を持っていると感じるのです。


 

アーユーハッピー?

さて、イタリアの照明会社の方が一緒に夕食をいただいている中、こんなことを話してくれました。実はこのレストランは会社指定のレストランで社長も従業員も、その家族もよく来るのだというのです。それは社長と従業員とだったり、同僚同士だったり、家族だけや家族同士だったりと、そこではフラットにみんな一緒に来て、ちゃんと割引もきくようになっています。


「えーっ、家族と一緒の時に社長や副社長にあったら、気まずくないんですか?」と聞いてみると、「全然大丈夫ですよ!うちの息子なんて副社長に可愛がられてるんだよ!」なんていう意外な声がかえってきました。つまり会社というのは、家族の大きくなったようなもの!その会社の従業員の家族がハッピーなら、従業員ももちろんハッピー、ゆえに会社もハッピー、そして地域全体がハッピーという理論です。これには、へーっ!と歓心をいたしました。


 

仕事は楽しい人生の時間!

海外に行くと、いろんな場所で「アーユーハッピー?」と聞かれることがとにかく多いような気がします。昨年この言葉を聞いたのは、前述のイタリアのみならず、9月に訪ねたカリフォルニアでも何度か尋ねられました。仕事中でも、あるいは食事が終わった時でもふと目線があった時などに、よく聞かれます。


そんなに私はハッピーじゃなさそうだったのだろうか? いえいえ、そんなことはないはず、御想像のとおり、私は旅に出ると楽しくてしょうがないのですから・・・! こういった、人がハッピーかどうかを問うことが日本人には足りていないのかもしれません。日本人は、「仕事は、頑張るものでハッピーなんていう生半可な態度で挑んでいたら立派な社会人にはなれないぞ!」そんな考えがあるようです。つまり、例をあげると、一生懸命残業して働くのは美徳ですが、そんなにハッピーじゃない。むしろハッピーじゃ無いほうが、社会に貢献している立派な社会人なのだ!そんな偏った考えに陥りがちに思えます。


さて、話をカリフォルニアの旅に戻しましょう!そこはグーグルの本社キャンパス!

あたかも大学のキャンパスのような自由な雰囲気、ハンモックに揺られながらPCを打つ人やカフェでくつろぐようにPCに向かう人などなど、日本の会社のように一生懸命辛そうに仕事をしている人など見当たらないのです。


昨年訪れたグーグルのカリフォルニア本社
昨年訪れたグーグルのカリフォルニア本社。Photo by Hiroyasu Shoji


このスタイルはキャンパス・オフィスというのだそうですが、あくまで自分流、個人主義に徹した働き方がここにはありました。働く時間も自由!早く来て早く帰ろうが、徹夜で仕事をしようが、家で仕事をしようが、最低限のルール(例えばミーティングみたいなものがあるそうですが、)それさえ守ればOK! でも快適な場所があるのでこのキャンパスに来ちゃった!そんな感じなのです。ちなみに、このキャンパスにさえいれば、食事や飲み物は基本無料なのです。


アーユーハッピー? もちろんYES!という声がかえってくるのでしょうが、それ相応の責任がのしかかっていることも否めません。一見楽しそうに見えるワークスタイルなのですが、超短期的なタームで成果をあげなければここにいることができない訳ですから。


イタリアとカリフォルニアでの経験は、会社で働くこととそれぞれの人生の時間との連携を模索させられるものでした。昨今、日本で語られることの多いワークライフバランスとか、ノー残業デー!みたいな言葉たちは、少し薄っぺらなキャンペーンに聞こえてしまいます。

そもそも自分自身を含め、人と人の間に「アーユーハッピー」と問いかける意識が、まわりまわって社会をハッピーにしていくのではないかという気づきの旅となりました。


みなさま、本年こそ「アーユーハッピー」という問いとともに、猪突猛進いたしましょう!


bottom of page