照明デザイナーの好きな照明器具


キミはトモダチ?


照明を説明するということ


私には、空間における照明デザインを行うという照明デザイナーの実務の他に、光の伝道師として一般の方に光や照明器具の世界観、魅力をわかりやすく説明するというミッションもあります。そこで、このブログを書いたり、メディアの力をお借りして日夜ミッションを遂行しています。


最近では、ゲーム「あつまれどうぶつの森」の世界に描かれた光の解説をする機会もいただきました。これはYoutube番組なので広くご覧にいただけます。ゲームの中には想像を超えた豊かな光の世界があり、見ている人と光の共有体験をしている感覚になる面白い企画でした。興味のある方はのぞいてみてください。(動画はこちら


この番組を見たある方から指摘を受けたのですが、私が番組の中で(0.:51あたり)、家の中に置かれた照明器具のことについて“光の友達”という表現を使っていたのです。以前、「マツコの知らない世界」というTV番組の中でも、同じような表現を使っていたので、東海林さんは、照明器具がお友達なのですか?という指摘でした。


私がこのところ好んで使う表現「お友達のような照明器具」、私がそう表現するのは、スタンドタイプの照明器具の中でも、私が好む、いい感じの存在感の照明器具のことで、一緒にいても気を使うことはなく、しかし、いつもほっとさせてくれたり、時にはワクワクさせてくれるような存在を示しています。


仕事の上では、照明器具に対してはもっとクールに向き合っており、照明が友達といった感覚はあまり自分自身には無かったと言えます。

照明デザインとは


私が照明を友達と呼ぶのはその照明器具自体の形や、存在感に何らかの愛着を表現したい時です。照明デザインの世界に飛び込んだばかりの頃は、私もそういったプロダクトとしての照明器具のデザインを手がけたこともありました。


しかし、照明デザインとはそういった形あるモノのデザインを超えて、光という物理的な現象、それを様々な法則や計算に基づき取り扱います。そうすることで、その光が人の心身に作用していく・・・という照明デザインの本質に魅了され、光で空間を作るという世界に没頭していったのです。そこでは、明るい・暗いといった人間の主観は時としてあいまいで、まずは科学的な面から光を捉え、構築していくという、どちらかというと少しクールな向き合い方をしています。


確かに、繰り返し使っている信頼できる光の性能を呈する照明器具はあります。しかし、それらは「友達」というわけではありません。もっとドライなビジネスパートナ、もしくは同志という感覚です。

毎日の生活が変わって

しかし、ここのところそういったクールなモノの見方から、友達という感覚が自分自身にも入ってきたように感じます。それは年月を経たからかもしれませんし、コロナ禍で、デスクで過ごす時間が以前よりも長くなったことも影響しているのかもしれません。


いつも自分の傍に置いておきたい照明というのがあるような気がしてきたのです。実は2020年3月下旬に仕事のやり方をリモートワークに切り替える際、オフィスから自宅に持ってきた唯一の照明器具がありました。それはルイス・ポールセンのPHシリーズのテーブルランプです。


これはガラスでできた笠の様なシェードが重なったランプですが、毎日接しているとその形が良さ以上に、そこから発せられる快適な輝度や、空間に送られる光のバランスの絶妙さに気づくことになりました。テーブル上に置いたときに、椅子に座った私の目の高さに対して、光源および重なり合う笠に反射して見える光の美しさが何とも心地よく絶妙なのです。

トキを超えメッセージを運ぶお友達


このテーブルランプについてもう少し詳しく説明しておきましょう。この器具は、テーブルに広がる光が、おおむね80センチくらいで、ちょうど自分のテリトリーであるパーソナルスペースを示してくれるのです。


covid19によって、ソーシャルディスタンスという言葉をよく耳にするようになりましたが、人は、パーソナルスペースに勝手に入り込まれることを警戒する動物です。このテーブルランプは私のパーソナルスペースに自然と存在し、心地よいあかりを灯してくれるという意味でも、良き友達だと思っています。


1920年代に、ポール・ヘニングセンによって光学的にデザインされたPHシリーズのテーブルランプは、トキを超え、今、私の心身に作用し、“トモダチ”という心地よさをもたらしています。光の特性を人間の福利に結びつくように利用することを大切に考えた彼の思想は、今も輝いていて、尊敬の念を抱かずにはいられません。


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