top of page
  • 執筆者の写真東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

ポータブルライトが面白い!


自由になった照明のいま


最近のハマりもの


私は仕事柄、電球や照明器具、光にまつわる色々なものをコレクションしていますが、最近気になっているのがポータブルライトです。


きっかけになったのは、私を含む照明デザイナー5人が主催する円卓会議・照明楽会でのこと(この会はもう20年以上続いて毎年開催している照明のトークイベントです)、このイベントが年数を重ねていく中で、私たちは照明五原則というステートメントを提唱するにいたりました。(かのル・コルビジェが近代建築五原則を提唱したのに倣って作ったのです。)

 

その原則の一つが、

“どこでもライトー照明は空間、場所、地域から解放され、もっと自由になる”


…というもので、その一つの例としてポータブルライトの素晴らしさと可能性を取り上げたことに由来します。それからというもの数々の興味深いポータブルライトが手元に集まるようになったのです。

 

“照明が自由になる”とは?


以前、旧知のランドスケープデザイナーが完全オフグリッドの家を新築するので照明デザインをお手伝いさせて頂いたことがありました。それは玄関に家族の人数分のポータブルライトをおいて、家に帰ってきた家族はそれをもって部屋に入ります。夜トイレに行くときにはそれを持って、お風呂に入るときには脱衣所において・・・というように、いささか不便なようですが、かえってそれは新鮮な毎日になったというのです。


家族が別々の場所で過ごしている時は家の中で光が散らばり、一緒に過ごすときは大きな一つの光が出来る…という人の動きに応じて明るさも移動していく光景が生まれたのです。この時はゴルフカートに使用されている蓄電池を利用したので12ボルトの電源ソケットを使わないといけないという制限がありました。


それから10年程過ぎて、今は充電式の電気自動車が走る時代になりました。このご家族の家でも充電式のポータブルライトに切り替えて、より充実した毎日をお過ごしのこととお聞きしています。

 

光のソムリエ・ポータブルライトコレクション



電気照明が登場する以前は ろうそくや植物油ランプが使われておりました。いわば照明の原型はポータブルライトであったわけなのです。そんなことを考えていたら突然面白いギフトがとどきました。写真に写っているキャンドルのコレクションです。水色と赤のコンビネーションのキャンドルはデザインがなかなかいいですね!素敵すぎて現在は鑑賞中なので火を灯すことが出来ていません(苦笑)。



もう一つは、白い提灯型のキャンドルは実は2層になっており、キャンドルの外側は溶けずに内側のキャンドルだけ溶けて、だんだんと明かりが提灯の下に降りていく仕様になっています。こちらは、灯す時間に従ってどんどん変化してゆく面白さがあります。また、内側のユニットは交換することができるので安心して灯すことができます!



また、充電のテーブルランプのコレクションに面白いものが加わりました。


こちらは日本のアンビエンテックというメーカーのTURN / Brass(ターン / ブラス)という商品です。天板の部分がタッチセンサー式のスイッチになっており、4段階の調光が可能で、暗くしていくと色温度も下がっていきます。金属を削り出して作った真鍮製のボディで重量感はありますが、その分モノとしての存在感が楽しめます。分光照度計で計測してみると極めて演色性が高いことがわかりました。さすがテーブルランプが食べ物を美味しく見せる役割を心得ていていい感じです。


フィリップ・スタルクがデザインしたBON JOUR Unplugged(ボンジュールアンプラグド)は、前述のTURN/Brassとは打って変わってプラスチック製で軽くてカジュアルな雰囲気ですが、これが案外テーブル上で使いやすい重さ感なのです。セードの透け感も絶妙です。表面のメタリックな表情も逸品です。そして、もちろん演色性はRa90以上、かつ赤色の演色性もかなり良い状態なのです。スタイルだけじゃなく、光の質にもこだわっている点はさすがです!


こちらはVibia(ヴィビア)というスペインのメーカーから出ているMayfair mini(メイフェアミニ)で、滑らかな連続調光が出来ます。上記の3つはいずれも面光源であるためやわらかな光を放つのも高評価を点けたいポイントです。笠が大きくて優雅に見えること、真ん中の軸の光の受け方がグラデーションを伴って美しいことに加えて、当たり前のように高演色で赤の見え方も秀逸な点がいい感じです!

 

照明の自由は、ポータブル&パーソナル



また、手元を照らすようなスポットライトもこちら(写真)は充電式のコードレスとなっています。スペインのVibia社のAfricaという商品です。先日、この照明器具で食卓状のサラダを照らしてみたのですが、光源が小さくて指向性も強いせいか、生き生きと美味しそうに見えたのには驚かされました。シンプルな形状なのもテーブル上では静かな存在感を見せています。


ところで、現代ではパソコンやスマホなどそれぞれの機材が自発光するツールになったので、照明は手元のキーボードが見えれば十分な明るさになってきました。もはや照明の目的は、明るくするというよりも、癒されるとか、安心する、楽しい、元気が出る・・・など人に寄り添い、人の心を温めてくれるような効用になってきたのでしょう! 


さて、今回のお話のきっかけにもなったトークイベント円卓会議・照明楽会が、今年も12月9日(土)に開催されます。今回は冒頭でご紹介した照明五原則の中から「光のメリーゴーランドー物質・素材・エネルギーの循環」をフィーチャーして、時や季節、そしてエネルギーも回転しているという側面から光の在り方を探ります。過去3年はオンラインでの開催でしたが、今年は東京デザインセンター ガレリアホールでのリアルイベントのみでの開催となりますので、是非ご興味のある方は会場にいらしてください。


円卓会議・照明楽会 プラネット・オブ・ライト [照明の未来] Vol.3 「宇宙からのラブソング」

日時:2023年12月9日[土] 18:40〜

会場:東京デザインセンター ガレリアホール

入場料:1000円(飲み物付き)


詳細はこちら


コメント


コメント機能がオフになっています。
bottom of page