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  • 執筆者の写真東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

キミは遊んでいるか?


遊びが本気になって新しい世界が見えてくる


仕事が趣味だった・・・


こんにちは。東海林弘靖です。このタイトル、知人が仕事の面接で聞かれた質問だったそうです。なんでも、遊んでいる人のほうが良い仕事をするということで問われたようですが、私自身は5年くらい前までは「ご趣味は?」と聞かれて答えに困るくらいに趣味もなく、「では土日に何していますか?」と聞かれても「・・・仕事」といった感じでした。


たまの土日にホームセンターに行って何か面白いものを探してくるということはありますが、これも仕事に使えるものを探しているわけなので、やはり「これが趣味です!」とも言えるものがあまりなかったのです。


本当に最近までこのような状況だったのですが、これまでにワインを好んで飲んでいたことが高じて、数年前から、もう少し詳しくワインを知りたいと感じ、ワインスクールに通うようになりました。月に数回土日に通うワイン教室での友人も増えて、さらにワインづくりや生産地の特徴などを学びつつ、ようやく趣味と言えるくらいになってきたのかもしれません。

 

趣味と仕事がつながって

そんなわけで、ここ数年はワインを学びながら楽しく飲んでいたのですが、次第にワインから派生する色んなお誘いを頂くことにもなりました。


たとえば、とあるイタリア人に・・・こんなイタリアワインが好きだ・・・という話をしていたら、では、私の友人が経営しているワイナリー(イタリア語ではカンティーナ)を案内してあげましょう!ということになりました。


このイタリア人、照明器具メーカーの偉い人なのですが、ぜひそのついでにわが社にも立ち寄って日本の照明デザインに関するレクチュアもやって欲しいのだ・・・というお誘いだったのです。まぁ、ワイナリー巡りのついでにしては、それなりに準備もいる仕事でありましたが、二つ返事でOKをし、その半年後である本年6月末にイタリアワインと照明紀行が実現したのです。


ワイン好き・・・イタリアワイン・・・イタリアの照明・・・イタリアワイン紀行・・・イタリアでのレクチュア・・・、ともかく趣味と仕事に境目を持たない私としては、なかなかいい流れを与えていただいたと感謝しています。

 

真剣に遊んでみる


ライトデザインの過去のグリーティングカード
photo by LIGHTDESIGN INC.

もう一つ、思い返せば事務所を立ち上げて数年経ったとき、グリーティングカードの楽しい企画がありました。


それは、事務所のスタッフみんなでコックさんの格好をして写真を撮って、それをグリーティングカードにするという企画でした。いわゆるコスプレということになるのでしょう・・・そのカードには世界から反響が届き、好評だったこともあって、翌年はソムリエのコスプレ、その次の年は船乗り・・・と事務所を上げて年に一度のコスプレ写真撮影会なるイベントが定例化してきました。


もちろんその写真を翌年のグリーティングカードの素材にするのですが、素晴らしいグラフィックデザイナーの力を借りてなんとも楽しいカードが完成していくわけです。念のためにことわっておきますが、各コスプレにはその時々のメッセージが込められているのです。コックさんのカードには「光のデザイナーを光のシェフと自ら呼び変えてみたら、これまで見えなかった事柄が、はっきりと浮かび上がってくるのではないかと考えたのです。照明デザインは、光という素材を空間のイメージにあわせて料理する仕事。これからも人々に愛される美味しい光の料理をつくりつづけます。」と記してあります。そして、気が付けばスタッフ全員がそれなりに楽しみにしているイベントとなっていったのです。 さらにもう一つ、やはり、ずっと長く継続している事務所内のイベントで「銀座ナイトライトツアー」というものがあります。


これは、夜の銀座に繰り出して、最新のファサードライティングから、昭和の初期の匂いを感じる照明、明治時代の名残を感じる光などを捜し歩くツアーなのですが、私のつぶやく一言一言をツアーメンバーに伝えるために無線インカム・レシーバーを使うようになりました。ほら、総理大臣の護衛をする私服のガードマンがよく耳にしているイヤホンと無線機です。あれを参加者各人が装着して散策活動をするのです。これを使うと街中で複数人でもばらけて歩きながらレクチャーができるし、何だか探偵ごっこのようでもありワクワクします。

どうせやるのなら、真剣に遊ぶ!どうしてもそう発想してしまうのです。


自分は無趣味だし、あまり遊んでいないと思っておりましたが、振り返ってみると結構遊んでいた・・・?のかもしれません。照明デザイナーはいつも何か面白いこと、新しいことを考え、柔軟な思考と、大志をもって臨んでこそ新たなひらめきやアイディアが生み出されると思うのです。そう考えると、「キミは遊んでいるか?」という質問は照明デザイナーに対する面接でも有効なのかもしれないですね。


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