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  • 執筆者の写真東海林弘靖 / Hiroyasu Shoji

音と光はポータブル

更新日:2022年12月14日


自分だけの空間を作る携帯品


コンパクトガジェット


様々な電気製品がコンパクトになって家の中だけでなく外へと持ち運びが出来るようになりました。携帯電話の進化を筆頭に、今では接続するイヤホンやプロジェクターなどの周辺機器からも煩わしいコードが不要になっています。


そういった通信技術の発展によってもたらされた便利なガジェットはたくさんありますが、最近、そのひとつであるBluetoothスピーカーが面白い進化を遂げていることに気がつきました。

 

聴くだけじゃない


先日、照明デザイナーの武石正宣さんの事務所にお邪魔したところ、オーディオメーカー・JBLのPulse4というポータブルスピーカーが置いてありました。実際にプレイして見せてくれたのですが、これがなかなか秀逸で、色んな光を音に合せて変化したり、自分で好きな色を選んだりできますし、Bluetoothで複数台の接続が可能なので立体的な音場をサラウンドスピーカーとして作ることができるようです。


実は私が14年前に書いた著書『デリシャス・ライティング』の中で、テーブルスタンドの電源にCDプレーヤーと音楽調光器を繋いで、光を音楽に合せて調光させる、少しマニアックなレシピを当時綴っていました。時は過ぎ、今や配線も使わずにこういうことをさらっとやってのけて、しかも実売価格もだいぶ手頃という素晴らしいものが出てきたなあという印象です。


しかも、防水仕様なので屋外での雨や海や川などの水辺といったアウトドアでの使用も想定済みのようです。いや、何もアウトドアでなくてもお家でバスルームでのくつろぎにも使えると思ったところ、ライトデザインのスタッフがこれとはまた別の照明付きBluetoothスピーカーを持っていて、実際お風呂で使っているとわかりました。

 

お風呂に有難い防水照明


それは SPICE OF LIFEという日本の雑貨メーカーから出ている「ゆらぎカプセルスピーカー」というもので、中に仕込まれたLEDはまるでキャンドルのように揺らめくというアイテムです。


この商品の素晴らしい点は、スタッフ曰く色温度だというわけです。色温度が相当低く、「夕陽の赤みが部屋に欲しい!」に書いたような色合いとのことで、夜のくつろぎタイムにはぴったりだと言っています。


確かに、この時のブログ投稿では普通のLEDキャンドルは意外に色温度が高いし、かといって本物のキャンドルをお風呂に持ち込むのも水回りなので勝手が悪いと思っていたところ、最近アウトドア商品で増えているランタンスピーカーは炎を再現したものもあり、さらには充電式で防水になっているということで、いわゆる照明メーカーの照明器具という部類ではない、意外な所にそのスタッフのニーズに応えたものがあったというところです。


光の揺らめき機能やスピーカー機能は使っていないということでしたが、この進化が激しい分野では、ニッチなリクエストにも応えてくれる製品が出てきていると言えるのかもしれません。

 

ランタンを使っていた時代のように


日本ではガス灯が街に設置されたのは明治時代で、それまでは三日月から新月の夜は提灯を携えないと暗くて歩けなかった時代です。東海道を行き来する旅人が泊まる旅籠では入り口で宿泊客は行燈を手渡され、それが自分が泊まる部屋の照明にもなっていました。


そんな時代のように灯りがこれまで以上に身近な存在になったとも感じます。どこにでも持ち歩けるランタンスピーカーの灯りは古くて新しい感覚かもしれません。また、そうやって日常的にランタンを使っていれば、災害時に慌てて懐中電灯を探すなんて必要もありません。そして、気に入ったら複数台追加して、家の中で分散照明にするも良し、仲間が集まった時のパーティーに使うなど、自分の好みの使い方を見つけて行けば良いのです。


さて、2021年、音と光がポータブルになったのですから、光のソムリエとしては新しい照明のレシピ本『デリシャス・ライティング2』を上梓しなければなりますまい!より楽しく豊かな日常を過ごすためにも!


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